「自然共生サイト」は、企業や民間の主導によって地域ごとの自然が守られ、生物多様性の保全が推進される仕組みです。
近年、持続可能な社会づくりを目指すなかで「自然共生サイト」という言葉が注目を集めています。環境省が主導するこの認定制度は、企業のCSR・ESG活動や地域の生物多様性保全において重要な役割を果たしています。
本記事では、自然共生サイトの基本概念から認定される意義、具体的な企業・地域の取り組み事例まで分かりやすく解説します。
1. 自然共生サイトとは?
「自然共生サイト」とは、民間の森や企業所有地、屋上緑化、地域の里山など、「民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域」を環境省が認定する制度です。
背景には、2022年の国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された国際目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」があります。これは「2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上を健全な生態系として保全する」という目標です。

国立公園などの保護区だけでは30%の達成が難しいため、保護区以外の地域で生物多様性に貢献する区域(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures)として「自然共生サイト」を認定・活用する取り組みが進められています。
2. 企業や地域が取り組む3つの大きなメリット
自然共生サイトへの申請・認定は、企業や地域社会にとって多様な価値をもたらします。
① 企業のESG投資・TCFD/TNFD対応の強化
ネイチャーポジティブ(自然再興)への関心が高まる中、自然共生サイトの認定を受けることで、自社の持続可能性への貢献を定量的に示せるようになります。ESG投資における正の評価につながり、企業価値向上に直結します。
② 地域社会との連携・コミュニケーション強化
企業所有地や里山での保全活動を通じて、自治体やNPO、地元住民との交流が生まれます。地域の生態系ネットワークを守る拠点として信頼を獲得することができます。
③ 社員の環境意識向上とエンゲージメント
自社の敷地や管理地が国から公式に認定されることで、保全活動に参加する社員のエンゲージメントが向上し、環境教育の場としても活用可能です。
3. 具体的な取り組み事例
さまざまな主体によって、多様なスタイルの自然共生サイトが誕生しています。
- 企業の工場敷地・研究施設の緑地 工場周囲の樹林帯やビオトープを整備し、在来種の保護や野鳥の生息環境を確保する取り組み。
- 里山・竹林・休耕地の再生(地域・NPO主導) 手入れが行き届かなくなった里山を地域住民やボランティアが整備し、稀少な植物や昆虫の多様性を蘇らせる事例。
- 都市型緑化・ビル屋上庭園 都市部の限られた空間に渡り鳥や昆虫が立ち寄れるスモール・サンクチュアリ(中継地点)を創出する取り組み。
4. まとめ
自然共生サイトは、単なる環境保護活動にとどまらず、企業価値の向上と地域の生態系保全を両立させる持続可能なプラットフォームです。
2030年の「30by30」達成に向けて、今後も企業や自治体による自然共生サイトへの登録・活動の輪がますます広がっていくことが期待されます。





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