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クマ対策にドローンを活用?最新技術で変わる野生動物の監視

ブラウンベア 野生動物
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山林や農村地域だけでなく、住宅地や学校周辺にも出没するようになったクマ。人身被害を防ぐためには、クマの存在をいち早く把握し、人と遭遇する前に適切な対応を取ることが重要です。

こうした中、注目されているのがドローンやAI(人工知能)、赤外線カメラなどを活用した新しい野生動物の監視技術です。

これまで人が現地を歩いて確認していた場所も、上空から撮影したり、カメラの映像をAIで解析したりすることで、より効率的に監視できる可能性があります。

実際に2025年から2026年にかけて、自治体や企業によるクマ対策へのドローン導入や実証実験が進んでいます。

この記事では、クマ対策にドローンがどのように活用されているのか、最新の導入事例やAI・赤外線カメラの仕組み、今後の課題について紹介します。

クマ対策にドローンが活用される理由

ドローン

クマ対策でドローンが注目されている理由は、人が直接現地に入らなくても、広い範囲を上空から確認できるためです。

クマは森林や藪など、人の目が届きにくい場所にも生息しています。

目撃情報が寄せられた場合でも、現地に到着するまでに時間がかかったり、確認している間にクマが移動してしまったりすることがあります。

また、クマが出没した場所に人が近づいて調査することには、当然ながら危険も伴います。

ドローンを活用すれば、離れた場所から状況を確認できるため、調査に関わる人の安全確保にも役立ちます。

ドローンでできる主なクマ対策

クマ対策におけるドローンの活用方法には、次のようなものがあります。

活用方法具体的な内容
上空からの監視クマの姿や移動状況を確認する
赤外線カメラ暗い場所や夜間の動物を発見する
AIによる検知撮影した映像からクマを自動検出する
位置情報の記録クマの出没場所や移動経路を把握する
追い払いスピーカーなどを使ってクマに働きかける
情報共有自治体や関係者に出没情報を伝える

これらを組み合わせることで、クマの発見から住民への注意喚起、現地での対応までを効率化できる可能性があります。

ドローンによる野生動物の監視を支える3つの技術

ドローンを使ったクマ対策では、機体そのものだけでなく、搭載されているカメラやAIなどの技術も重要です。

ここでは、代表的な3つの技術を紹介します。

1. 赤外線カメラで夜間や暗い場所のクマを探す

ドローンに搭載できる技術の一つが、赤外線を利用したサーマルカメラです。

サーマルカメラは、物体から放射される赤外線を検知し、温度の違いを映像として表示する装置です。

一般的なカメラは、光が少ない場所では被写体を確認しにくくなります。

一方、サーマルカメラは対象物の温度差を捉えるため、暗い場所でも動物を発見する手掛かりになります。

例えば、森林の中にいるクマと周囲の地面や植物との温度差を利用して、動物の存在を確認できる場合があります。

ただし、気温や地面の温度、植生、天候などによって見え方は変わります。赤外線映像だけでクマと断定できるわけではなく、通常のカメラ映像などと組み合わせた確認が必要です。

2. AIによる画像解析でクマを自動検知する

ドローンで撮影した映像を人がすべて確認するには、多くの時間と労力が必要です。

そこで活用されているのが、AIによる画像解析技術です。

AIにクマの画像などを学習させることで、撮影された映像の中からクマらしい姿を検知し、担当者に通知する仕組みが開発されています。

例えば、次のような流れで活用できます。

  1. ドローンや監視カメラで周辺を撮影する
  2. AIが映像や画像を解析する
  3. クマと判断した場合に位置情報などを記録する
  4. 担当者や自治体に通知する
  5. 必要に応じて現地確認や住民への注意喚起を行う

AIによる自動検知が実用化されれば、担当者が常に映像を見続ける負担を軽減できる可能性があります。

ただし、AIが必ず正確にクマを判別できるわけではありません。

ほかの動物や木の影などを誤って検知する可能性もあるため、実際の運用では人による確認や検知精度の検証が重要です。

3. 自動飛行・遠隔操作で広い範囲を監視する

ドローンには、あらかじめ設定したルートを飛行する自動飛行機能や、離れた場所から操作する遠隔操縦機能を備えた機種もあります。

これらを活用すれば、クマの目撃情報が多い場所や通学路、農地周辺などを定期的に監視できます。

さらに、ドローンの発着基地となるドックステーションを設置することで、対応する機種では離れた場所からの運用や自動充電なども可能になります。

人が毎回現地に出向かなくても監視できる仕組みは、見回りを担当する人員が限られている自治体にとって、有効な選択肢の一つです。

クマ対策にドローンを導入した最新事例

ヒグマ

実際に日本でも、ドローンやAIを活用したクマ対策が進められています。

ここでは、2025年から2026年にかけて公表された事例を紹介します。

1. 秋田県鹿角市|自動巡回ドローンで通学路を監視

2026年9月、秋田県鹿角市では、クマによる被害を防ぐため、ドローンを活用した監視の実証事業が始まりました。

この取り組みでは、小学校周辺の安全確保を目的として、ドローンによる自動巡回を実施しています。

ドローンは早朝と夕方から夜にかけて飛行し、学校周辺の約2.5kmのルートを監視します。

特徴的なのは、赤外線カメラとAIを組み合わせている点です。

赤外線カメラで周囲の温度差を捉え、AIが映像からクマを検知すると、自治体にメールで知らせる仕組みが採用されています。

また、クマを発見した場合には、手動操作に切り替えて追跡したり、大きな音を出して追い払いを試みたりする機能もあります。

通学路周辺でクマの存在を早期に把握できれば、登下校の時間帯を変更したり、児童に注意を呼びかけたりする判断にも役立つ可能性があります。

なお、報道時点では実証期間中であり、長期的な検知精度や被害防止効果については、今後の検証が必要です。

2. 福島県昭和村|遠隔操作ドローンによるクマ対策

福島県昭和村では、NTTドコモビジネスと連携し、セルラードローン「Skydio X10」を活用したクマ対策が進められています。

このドローンは、高精細カメラやサーマルカメラを搭載しており、LTE通信を利用した遠隔操作などに対応しています。

主な活用方法は、次のとおりです。

  • クマの目撃情報があった場所の状況確認
  • 赤外線カメラを使った動物の発見
  • クマの移動経路や獣道の把握
  • スピーカーを利用した追い払い
  • 位置情報を活用した関係者への情報共有

特に注目したいのが、クマを発見した後の対応です。

クマの位置を確認するだけでなく、移動経路を追跡することで、捕獲や防除に必要な情報を集めることにも活用できます。

人が危険な場所に直接入る前に、ドローンで状況を確認できることは、安全な対応体制を構築するうえでも重要です。

3. 北海道八雲町|AIカメラでクマの出没を自動検知

ドローンだけでなく、固定式の監視カメラにもAI技術が導入されています。

2026年9月18日、TOPPANと北海道八雲町は、AI画像解析を活用したクマの検知・通報システムの実証実験を開始しました。

実証期間は2026年11月30日までです。

この取り組みでは、クマの出没が多い農地や道路などにカメラを設置し、撮影した映像をAIで解析します。

クマを検知すると、自治体職員にアラートを通知する仕組みです。

また、検知した情報や対応状況を「PosRe」という情報管理サービスに集約し、出没場所や対応履歴などを一元管理することも目指しています。

注目したいのは、クマを発見するだけでなく、その後の自治体の対応業務までデジタル化しようとしている点です。

これまで電話や個別の記録で管理していた情報をシステム上に集約することで、職員間の情報共有や初動対応の効率化が期待されています。

4. NTTドコモビジネス|クマの発見から住民への情報発信まで支援

NTTドコモビジネスは2026年4月1日から、自治体向けの「熊対策ソリューション」の提供を開始しました。

このサービスは、クマの早期発見だけでなく、住民への情報発信や現地調査の効率化までを支援するものです。

主な仕組みは次のとおりです。

対策活用する技術
クマの早期発見AI画像解析・トレイルカメラ
現地の状況確認セルラードローン・赤外線カメラ
住民への注意喚起地域アプリ・プッシュ通知
現地調査の効率化写真・位置情報を活用したデータ管理

例えば、監視カメラでクマを検知した場合、その情報を関係者に通知し、必要に応じてドローンで現場の状況を確認できます。

さらに、住民向けのアプリを通じて出没情報を共有することも可能です。

このように、複数の技術を組み合わせることで、クマの発見から住民への注意喚起までを一連の流れとして支援する仕組みが整いつつあります。

ドローンによるクマ対策にはどのようなメリットがある?

グリズリー

ドローンやAIを活用した監視には、従来の人による見回りとは異なるメリットがあります。

人が危険な場所に入る機会を減らせる

最も大きなメリットは、現地確認に伴う危険を軽減できることです。

クマが目撃された場所に人が直接向かう場合、移動中や調査中に遭遇する危険があります。

ドローンを活用すれば、離れた場所から上空の映像を確認できるため、現地に入る前の状況把握に役立ちます。

ただし、ドローンで安全が完全に確保されるわけではありません。捕獲や追い払いなどの対応では、専門知識を持つ人員との連携が必要です。

広い範囲を効率よく監視できる

山林や農地など、人が歩いて確認するには時間がかかる場所でも、ドローンなら上空から状況を確認できます。

また、自動飛行機能を利用すれば、決められたルートを繰り返し巡回することも可能です。

目撃情報が多い場所や、人の生活圏と森林が隣接する地域などで活用が期待されています。

夜間の監視にも対応できる

サーマルカメラを搭載したドローンは、暗い時間帯でも温度差を利用した確認ができます。

クマの出没を把握するためには、昼間だけでなく、早朝や夕方、夜間の情報も重要です。

こうした時間帯に対応できることは、監視体制を強化するうえで大きなメリットです。

ただし、雨や霧、強風などの気象条件によっては飛行や撮影が難しくなるため、運用には注意が必要です。

自治体の人手不足や業務負担を軽減できる

クマの目撃情報が増えると、自治体職員は情報の受付、現地確認、関係者への連絡、住民への注意喚起など、多くの業務を行う必要があります。

AIによる自動検知や位置情報の共有が進めば、情報確認や記録作業を効率化できる可能性があります。

特に、限られた人数で広い地域を管理する自治体にとって、こうした技術の導入は重要な選択肢となっています。

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ドローンによるクマ対策には課題もある

ブラウンベア

便利な技術である一方、ドローンを導入すればすべてのクマ被害を防げるわけではありません。

実用化に向けては、いくつかの課題があります。

1. 天候や地形によって飛行できない場合がある

ドローンは、強風や大雨、積雪などの影響を受けます。

また、山間部では通信環境が十分に確保できない場所もあり、遠隔操作や映像の送信が難しくなる場合があります。

森林の樹木が密集している場所では、上空からクマの姿を確認できないこともあります。

そのため、ドローンだけに頼るのではなく、固定カメラや人による巡回などを組み合わせる必要があります。

2. AIの誤検知や見落とし

AIによる画像解析は便利ですが、すべての状況で正確にクマを検知できるわけではありません。

例えば、次のような問題が考えられます。

  • 木の影や岩をクマと誤認する
  • 草木に隠れたクマを検知できない
  • 距離が遠く、映像が不鮮明になる
  • 天候や時間帯によって検知精度が変化する

誤検知が多ければ、担当者の確認作業が増えることにもつながります。

AIの精度を高めるためには、実際の運用データを蓄積しながら継続的に改善することが重要です。

3. 導入費用や維持管理の負担

ドローンの導入には、機体やカメラ、通信設備、発着基地などの費用が必要です。

さらに、機体の点検や修理、バッテリーの交換、操縦者の確保など、導入後にも継続的な費用が発生します。

自治体によって予算や人員の状況は異なるため、すべての地域で同じように導入できるわけではありません。

導入する場合は、被害状況や監視する範囲などを踏まえ、費用に見合った効果が得られるかを検証する必要があります。

4. クマへの影響や航空法への対応

ドローンを飛行させる際には、航空法などの関係法令や飛行ルールを守る必要があります。

飛行場所や方法によっては、許可・承認などの手続きが必要になる場合があります。

また、クマなどの野生動物に対してドローンを過度に接近させたり、騒音を与えたりすると、動物の行動に影響する可能性もあります。

追い払いを目的とした飛行であっても、むやみに刺激するのではなく、専門家の知見を踏まえた適切な運用が求められます。

2026年、国もクマ対策への新技術の導入を推進

クマ

クマ対策における新技術の活用は、自治体や企業だけの取り組みではありません。

環境省も、ドローンやAIなどを活用した対策の導入を進めています。

環境省が技術導入の実証事業を公募

環境省は2026年9月8日、「市街地等におけるクマ対策に係る技術導入実証事業」の公募を発表しました。

この事業では、企業や研究機関、地方公共団体などを対象に、新しい技術を活用したクマ対策の実証を進めることとしています。

対象となる技術には、次のようなものがあります。

  • ドローン
  • 監視カメラ
  • センサー
  • ロボット
  • AI・DXを活用したシステム
  • 出没情報を共有するアプリ

想定されている取り組みは、クマの監視やパトロール、追跡、追い払い、捕獲、市民への警告や避難誘導などです。

また、人の生活圏へのクマの出没を抑制するための監視や、移動経路の把握なども対象となっています。

こうした取り組みは、クマによる人身被害を防ぐために、技術の導入と効果の検証を進めようとするものです。

なお、公募期間は2026年10月7日に終了しており、この記事では公募の発表内容を紹介しています。採択事業や実証結果については、今後の公表情報を確認する必要があります。

2030年度までのクマ被害対策ロードマップ

政府は2026年3月27日、「クマ被害対策ロードマップ」を決定しました。

このロードマップでは、2030年度までを見据え、関係省庁や自治体が連携してクマ対策を進める方針が示されています。

主な取り組みは次のとおりです。

  1. クマが出没した際の緊急対応体制の整備
  2. 人の生活圏への出没防止
  3. クマの個体数管理の強化
  4. 捕獲を担う人材の確保と育成
  5. クマの生息環境の保全・整備
  6. 国民への情報発信

ドローンなどの新技術は、こうした取り組みを支える手段の一つです。

技術だけで問題を解決するのではなく、人材の確保や地域の環境管理、住民への情報提供などと組み合わせて対策を進めることが重視されています。

ドローンはクマ以外の野生動物対策にも活用できる?

ドローンやAIによる監視技術は、クマだけでなく、ほかの野生動物の調査や管理にも活用できる可能性があります。

例えば、次のような動物が対象として考えられます。

野生動物主な活用方法
ニホンジカ生息状況や群れの確認、森林被害の調査
イノシシ農地周辺の監視、移動経路の把握
サル群れの位置や移動状況の調査
クマ出没場所の確認、追跡、住民への注意喚起

特に、広い森林や山間部で暮らす野生動物の調査では、上空からの撮影が役立つ場合があります。

ただし、動物の種類や生息環境によって、適した調査方法は異なります。

森林の中では樹木に隠れて動物を発見しにくい場合もあり、ドローンだけですべての個体を把握できるわけではありません。

今後は、ドローンの映像と固定カメラ、GPSなどの位置情報、現地調査のデータを組み合わせることで、野生動物の生息状況をより詳しく把握できるようになる可能性があります。

まとめ|ドローンとAIが変えるこれからのクマ対策

クマによる人身被害を防ぐため、日本ではドローンやAI、赤外線カメラなどを活用した新しい監視技術の導入が進んでいます。

2026年には秋田県鹿角市で通学路周辺の自動巡回ドローン、北海道八雲町ではAIカメラによる自動検知システムの実証が行われるなど、具体的な取り組みも始まっています。

こうした技術には、次のようなメリットがあります。

  • 人が危険な場所に入る機会を減らせる
  • 広い範囲を効率的に監視できる
  • 赤外線カメラによって夜間の確認にも対応できる
  • AIによる自動検知で早期発見につながる
  • 出没情報を自治体や住民に迅速に共有できる

一方で、天候や地形による制約、AIの誤検知、導入費用、野生動物への影響など、解決すべき課題も残されています。

ドローンはクマを完全に発見したり、被害をなくしたりする万能な技術ではありません。

しかし、人による巡回や専門家の調査、地域の環境管理などと組み合わせることで、野生動物の監視や人身被害の防止を支える重要な手段になると考えられます。

今後、こうした技術がどのように進化し、全国の自治体に広がっていくのか注目されます。

参考資料・出典

動物保護やアニマルウェルフェアの普及を応援するペットメディア「ANIPe」の運営・執筆担当。愛玩動物飼養管理士の資格を活かし、犬・猫の正しい飼育方法、歴史や特徴、健康管理まで、飼い主様が安心して読める実践的な情報を発信しています。愛犬・愛猫とのより良い暮らしをサポートすることがモットー。

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