山口県岩国市には、真っ白な体に赤い目を持つ、神秘的で珍しいヘビが暮らしています。その名も「岩国のシロヘビ」。
一般的なヘビとは大きく異なる美しい姿から、古くから岩国の人々に愛され、大切に守られてきました。単なる珍しい動物ではなく、国の天然記念物にも指定されている非常に貴重な生き物です。
岩国では「シロヘビを見ると縁起がよい」とされ、福運や金運をもたらす存在としても親しまれています。
この記事では、岩国のシロヘビについて、その生態の秘密から歴史、見学できるスポットまで分かりやすく徹底解説します!
岩国の天然記念物シロヘビ、過去最多!大量死の真相

岩国のシロヘビをめぐって、深刻な問題が起きています。
2025年7月から2026年7月までの1年間に死んだシロヘビは281匹に上り、記録が残る2009年以降で最多となりました。前年の190匹から91匹も増えており、飼育・保護に取り組む関係者の間でも危機感が高まっています。
では、なぜこれほど多くのシロヘビが死んでしまったのでしょうか。
現時点で、岩国白蛇保存会は「寄生虫感染や夏の暑さが原因とみている」としています。
特に大きな要因の一つと考えられているのが、飼育環境における土壌の問題です。シロヘビが暮らす飼育場では、土壌の状態が健康に影響する可能性があるため、保存会では飼育場内の土壌を改良するなどして、岩国市とともに解決策を探っていく方針です。
また、近年の厳しい夏の暑さも無視できません。ヘビは変温動物のため、気温や環境の影響を受けやすく、過酷な暑さが体への負担となった可能性があります。
ただし、今回の281匹の死因について、現時点ですべてが特定されているわけではありません。
岩国市内では6月末時点で804匹のシロヘビが飼育されており、今回の大量死は、国の天然記念物である「岩国のシロヘビ」を守っていくうえで決して小さな問題ではありません。
今後は、寄生虫への対策や飼育場の土壌改善、暑さへの対策などを進めながら、死亡数の増加を食い止められるかが重要になります。
今回の供養祭は、亡くなった281匹を悼む場であると同時に、貴重なシロヘビをこれから先も守っていくための課題を改めて考える機会となりました。
岩国のシロヘビとは?基本情報まとめ

「岩国のシロヘビ」は、山口県岩国市周辺に生息する白いヘビです。体は白く上品な光沢があり、目はルビーのように鮮やかな赤色をしています。
その正体は、アオダイショウの白化個体(アルビノ)と考えられています。一般的なアオダイショウとは見た目が大きく異なりますが、毒を持つヘビではありません。 性質も非常に温和でおとなしいのが特徴です。
| 項目 | 詳細情報 |
| 名称 | 岩国のシロヘビ |
| 分類 | アオダイショウの白化個体 |
| 体の色 | 白色 |
| 目の色 | 赤色 |
| 毒の有無 | なし(温和な性質) |
| 主なサイズ | 全長約180cm、胴回り約15cm余りになる個体も |
| 生息地 | 山口県岩国市周辺 |
| 天然記念物 | 国指定天然記念物(1972年8月4日指定) |
※岩国市では、1972(昭和47)年8月4日に「岩国のシロヘビ」そのものが国の天然記念物に指定されました。なお、1924年には生息地が指定されており、その後シロヘビ本体への指定へと変更されています。
なぜ白い?赤い目をしている理由

シロヘビの最大の特徴である「白い体」と「赤い目」。これには、生物学的な仕組みが隠されています。
- なぜ体が白いのか?シロヘビは、体の色を決めるメラニン色素が少ない、またはほとんどないため白く見えます。「白い色素を持っている」のではなく、「色素が少ないことでアオダイショウ本来の体色が出ない」というのが本当の理由です。
- なぜ目が赤いの?色素が少ないため、目の内部にある血管の血液がそのまま透けて見えています。このルビー色の目が、シロヘビの神秘的な美しさを一層引き立てています。
岩国のシロヘビは毒を持つ?性格は?
「ヘビ=毒がある・怖い」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、岩国のシロヘビは毒を持っていません。
岩国白蛇保存会によると、もともと無毒であるアオダイショウの白化個体であるため、人間に危害を加えるような危険な毒はありません。性格も非常におとなしく温順です。
ただし、野生動物であることに変わりはありません。見かけたとしても、むやみに触ったり捕まえたりするのは絶対にやめましょう。
江戸時代から続く歴史と減少の背景

岩国のシロヘビには、非常に長い歴史があります。
- 最古の記録は1738年記録に残る最も古いものの一つが、1738年(元文3年)の『岩邑年代記』です。この文書には、錦帯橋周辺の横山千石原にシロヘビが現れたことが記されています。
- かつては広く生息していた江戸時代、岩国には米蔵が多く、そこに集まるネズミをエサとするシロヘビにとって非常に暮らしやすい環境が整っていました。明治から大正時代終わり頃にかけては、今津・川下・麻里布・室の木地区などに約1,000頭ものシロヘビが生息していたという記録も残っています。
- シロヘビが減少した理由その後、都市化の進展や町の整備によって、シロヘビが潜んでいた米蔵や水路、石垣などが減少していきました。さらに戦後のネズミ対策なども重なり、エサや生息環境が失われたことでシロヘビは次第に姿を消していきました。この危機感から、地域住民と岩国市が協力し、現在の保護・繁殖活動へとつながっています。
シロヘビの生態・寿命・冬眠の仕組み
シロヘビの知られざる生態やライフサイクルについても見ていきましょう。
- 食べるものは?肉食性で、野生ではネズミをはじめ、カエル、トカゲ、小鳥などを食べます。
- 寿命や成長は?一般的には15〜16年ほど生きるとされ、過去には25年生きた長寿の個体も記録されています。およそ3年で成体(全長約1.1m)へと成長します。
- どのように生まれる?一般的なヘビと同様に卵から生まれます。5〜6月頃に交尾し、7〜8月頃に10個前後(多い時は20個ほど)の卵を産み、約40〜60日でふ化します。生まれたばかりの幼蛇は真っ白ではなく、赤っぽい縞模様があり、成長するにつれて美しい白へと変わっていきます。
- 冬眠はする?はい。気温が下がる冬には、土の中や石垣の隙間などで冬眠をして越冬します。屋外飼育の個体は、3月中旬頃から再び活動を始めます。
- 舌をチョロチョロ出す・目を閉じない理由
- 舌を出す理由: 空気中のにおいの粒子を集め、口内の「ヤコブソン器官」へ運んで周囲の状況を察知するためです。
- 目を閉じない理由: ヘビにはまぶたがなく、目は透明なウロコで覆われているため、眠っているときも開いているように見えます(脱皮前にはここが白く濁ります)。
地域に根づく信仰と「縁起のよい存在」

岩国において、シロヘビは単なる珍しい動物にとどまりません。
古くから、シロヘビが家に住みつくと「瑞兆(ずいちょう=良いことが起きる前触れ)」とされ、福運や金運をもたらす神の使いとして大切にされてきました。その信仰と保護の歴史を今に伝えるのが、市内にある「白蛇神社」です。境内にはシロヘビをモチーフにしたデザインが随所に散りばめられており、岩国の文化と深く結びついています。
本物のシロヘビに会える!「岩国シロヘビの館」
岩国を訪れたら絶対に外せないのが、吉香公園内にある「岩国シロヘビの館」です。
ここでは、生きたシロヘビを間近で観察できるだけでなく、古文書をもとにした歴史の紹介や、骨格・内臓の模型、クイズや映像を通して生態を楽しく学べる展示が充実しています。
【基本情報】
- 施設名: 岩国シロヘビの館
- 所在地: 山口県岩国市横山2丁目6-52(吉香公園内)
- 開館時間: 9:00〜17:00
- 休館日: 無休(※臨時休館の場合あり)
- 入館料: 大人(高校生以上) 200円 / 小・中学生 100円 / 乳幼児 無料
- ※各種セット券提示で割引あり(大人160円・小中学生80円など)
- アクセス:
- 車: 山陽自動車道「岩国IC」から錦帯橋方面へ約5km(約10分)
- 公共交通機関: 新岩国駅または岩国駅からバスで「錦帯橋バスセンター」下車、徒歩すぐ
※料金や時間は変更される場合があるため、お出かけ前に公式サイト等で最新情報をご確認ください。錦帯橋や岩国城の観光とあわせて巡るのがおすすめです。
野生での観察と保護活動への取り組み

現在、都市化や環境の変化によって野生のシロヘビを見かけることは極めて稀になっています。「岩国に行けば野生で簡単に会える」というわけではありません。確実に見学したい場合は、必ず「岩国シロヘビの館」などの施設を訪れましょう。
また、シロヘビは国の天然記念物であるため、無断で捕獲・飼育することは法律で禁止されています。
現在、岩国白蛇保存会では、人工飼育と自然に近い環境での保護増殖を組み合わせた熱心な取り組みが行われています。ふ化した幼蛇を屋内施設で大切に育て、生後3年ほどで屋外の自然に近い環境へ戻すなど、未来へ命をつなぐための活動が続けられています。
まとめ
岩国のシロヘビは、山口県岩国市が誇る、動物としても文化財としても非常に価値の高い存在です。
- アオダイショウの白化個体で、神秘的な白い体と赤い目を持つ
- 1738年の古文書にも記録が残る長い歴史がある
- 1972年に国の天然記念物に指定された
- 毒はなく、おとなしい性質で、古くから福運・金運の神の使いとして大切にされてきた
- 「岩国シロヘビの館」で実際の姿や生態を楽しく学ぶことができる
錦帯橋や岩国城を観光する際は、ぜひ「岩国のシロヘビ」にも会いに行ってみてください。白く輝く美しい姿を目の当たりにすれば、岩国の人々がなぜ代々このヘビを大切に守ってきたのか、その理由が深く心に響くはずです。


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