「クジラ」と聞くと、海の中を悠々と泳ぐ巨大な生き物を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、クジラには私たちが想像する以上に不思議な特徴がたくさんあります。
たとえば、世界最大の動物であるシロナガスクジラの心臓は、なんと約180kgにもなるとされます。
さらに、種類によっては音を使って周囲のものを「見る」ように把握したり、海の中で眠ったりすることも。
今回は「くじらの日」にちなんで、知っているようで意外と知らない鯨に関するトリビア10選を紹介します。
シロナガスクジラは「現在最大」ではなく、地球史上最大級の動物

クジラの中でも特に有名なのが、シロナガスクジラです。
その大きさは、現生動物の中で最大。
NOAA Fisheriesによると、シロナガスクジラは最大で約33mにも達するとされ、これはバスケットボールコートの長さを超えるほどです。
NOAA Fisheriesは、アメリカの漁業や海洋生物について調べられる、アメリカ政府の公式サイトです。魚やクジラ、イルカ、ウミガメなど、さまざまな海洋生物の情報をはじめ、漁業資源の調査結果や統計、漁業に関する法律・規制なども掲載されています。海や魚について詳しく知りたい方はもちろん、海外の漁業事情を調べたいときにも役立つサイトです。
さらに驚くのは、これまで知られている恐竜よりも大きいということ。
つまりシロナガスクジラは、現在知られている地球上の動物の中で最大級どころか、「史上最大の動物」とされています。
陸上最大の動物であるアフリカゾウと比べても、そのスケールは桁違いです。
海の中には、恐竜を超える巨大生物が今も生きています。
シロナガスクジラは世界最大級の心臓をもっている

シロナガスクジラの巨大さを象徴するものの一つが「心臓」です。
NOAA Fisheriesによると、シロナガスクジラの心臓は約400ポンド、つまり約180kgにもなるとされています。
これは大人の人間数人分に相当する重さです。
巨大な体全体に血液を送り出すためには、それだけ大きな心臓が必要になるのでしょう。
しかも、シロナガスクジラの心拍は非常に力強く、研究ではその鼓動が遠くまで伝わることも紹介されています。
クジラの中には「音で周囲を見る」種類がいる

クジラの仲間には、私たち人間とはまったく違う方法で周囲の環境を把握する種類がいます。
それが反響定位(エコーロケーション)です。
主にハクジラ類では、自ら音を発し、その音が物体に当たって跳ね返ってくる「反響」を利用して、周囲の状況を把握します。
まるで生物が持つソナーのようなものです。
音は額付近にある器官などによって水中へ送り出され、返ってきた音を下あごなどを通じて受け取ります。
その情報から、物体までの距離や周囲の状況などを把握すると考えられています。
暗い海の中でも獲物を探すことができるのは、この特殊な能力があるからです。
トリビア
一部のクジラは、光ではなく「音」を使って世界を把握している。
まさに海の中の「生きたソナー」です。
クジラにも方言がある!?「歌」や音でコミュニケーションする

クジラは、ただ静かに海を泳いでいるわけではありません。
さまざまな音を使って仲間とコミュニケーションを取っています。
NOAAによると、クジラはクリック音や口笛、パルス状の音など、さまざまな音を使います。
また、群れによって異なる「方言」のような音の違いが確認されている例もあります。
特に有名なのがザトウクジラなどの「歌」です。
クジラの鳴き声は、水中を長い距離にわたって伝わります。
私たちが聞いている「クジラの歌」は、実は彼らにとって重要なコミュニケーション手段なのかもしれません。
同じ種類でも、暮らしている群れによって音の使い方が異なることがあります。
クジラは陸上の哺乳類から進化した

「クジラは魚ではない」ということは知っている人も多いでしょう。
クジラは私たち人間と同じ哺乳類です。
そして、その祖先は海ではなく陸上で暮らしていたと考えられています。
現在のクジラは、約5,000万年以上にわたる進化の中で、水中生活に適応してきたと考えられています。
興味深いことに、クジラの遠い親戚には現在のカバにつながる系統が含まれています。
つまり、現在は海の巨大生物として知られるクジラも、はるか昔には陸上を歩いていた動物の子孫なのです。
「海の巨人」のルーツをたどると、意外にも陸上動物につながります。
クジラは一度の呼吸で大量の酸素を取り込める

クジラが長時間、水中を泳ぎ続けられる理由の一つが、その優れた呼吸・循環システムです。
クジラの肺は非常に大きく、シロナガスクジラでは約1,300ガロン相当の空気を保持できると紹介されています。
さらに、クジラは人間よりも効率よく酸素を取り込めるとされています。
潜水すると心拍数を下げたり、血液や筋肉に酸素を蓄えたりすることで、水中での活動に適応しています。
私たち人間が「息を止めて潜る」のとは、体の仕組みそのものが違うのです。
クジラは「息を長く止めている」のではなく、水中生活に特化した体で酸素を効率よく利用している。
クジラも睡眠はイルカと同じ

海で暮らすクジラにとって、「眠る」という行為も簡単ではありません。
人間なら眠っている間は無意識に呼吸しています。
しかし、水中で生活しているため、呼吸のために意識的に水面へ上がる必要があります。
そのため、イルカと同じ脳の左右半分を交互に休ませる「半球睡眠」を行なっています。
クジラは水面付近で動きを止めたり、縦向き・横向きの姿勢で休んだりすることがあります。
マッコウクジラは、縦になって睡眠を撮る姿が目撃されています。
クジラの耳は、頭蓋骨から離れている
クジラの体には、水中生活に適応した非常に特殊な構造があります。
その一つが「耳」です。
クジラの中耳・内耳につながる骨は、陸上哺乳類とは異なり、頭蓋骨から独立した構造になっています。
また、クジラの耳の穴はふさがっており、人間のように空気の振動ではなく下顎の骨と内部の脂肪を通じた骨伝導で音を聞いています
これは、水中で音を効率よく受け取るための進化と考えられています。
水中では、音が陸上とは異なる伝わり方をします。
クジラは長い進化の中で、その環境に適した「聞くための体」を手に入れたのです。
ヒゲクジラは「歯」ではなく「ヒゲ」で餌をこし取る
クジラには、大きく分けて「ヒゲクジラ類」と「ハクジラ類」がいます。
ヒゲクジラ類には歯がありません。
その代わりに、口の中に鯨ひげ(くじらひげ)と呼ばれる板状の器官があります。
大量の海水と一緒に餌を口へ入れ、その後、海水を外へ押し出すことで、鯨ひげに餌を引っかけて食べます。
シロナガスクジラなどが巨大な体を持ちながら、小さな生物オキアミなど)を主な餌にできるのも、この仕組みによるものです。
クジラを調べると「海の環境」も分かる
最後は、クジラと海洋環境の意外な関係です。
クジラは海洋生態系の中で重要な存在であり、その体や行動を調べることで、海の環境についてもさまざまな情報が得られます。
たとえば、日本の鯨類研究では、クジラの体長や体重、栄養状態、胃内容物、年齢などを調べるほか、DNAやホルモンの解析、衛星標識による回遊調査なども行われています。
クジラは長寿命で、食物連鎖の上位に位置するため、海洋汚染や海水温の変化など、海の環境変化を知る手がかりにもなります。
つまりクジラは、単なる「大きな海の生き物」ではありません。
海の状態を知るための重要な存在でもあるのです。
まとめ|くじらの日は「知る」ことから始めよう
今回は、くじらの日に知っておきたい鯨のトリビアを10個紹介しました。
クジラについて調べてみると、その巨大な体だけでなく、進化、睡眠、コミュニケーション、食事、そして海洋環境との関係まで、驚くほど多くの秘密を持っていることが分かります。
これでも、クジラの謎が全て解明されいるわけではありません。
発声のメカニズムや、睡眠と呼吸の両立、深海での生態、頭部器官の正確な役割などは、まだ議論が残されています。
「くじらの日」をきっかけに、普段はあまり意識しない海の生き物について、少しだけ知ってみる。
それだけでも、海やそこに暮らす生き物を見る目が変わるかもしれません。




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