気候変動の影をうかがわせる南極のペンギンの話題から、日本各地の野生動物をめぐる出来事、そして世界を和ませたクマの人気投票まで、今週も動物たちのニュースが数多く届きました。
国内外の主な話題を振り返ります。
世界で話題だった動物ニュース
ヒゲペンギンのコロニーが6割以上減少

今週、世界で最も大きく報じられた動物ニュースのひとつが、南極近くの火山島ザボドフスキー島で見つかったヒゲペンギンの激減です。
英南極調査所などの研究チームの発表によると、繁殖個体数は2011年の約109万羽から2025年には約40万羽へと、およそ63%も減少しました。失われた個体は68万羽以上にのぼります。
調査にはドローンや航空写真、衛星データ、ペンギンに取り付けた発信機が使われました。主な要因とみられているのは、海洋温暖化や海氷の減少によって、ペンギンの主食であるオキアミが手に入りにくくなったことです。
この島はこれまで「世界最大のペンギンコロニー」とされてきましたが、その座はロス海のケープ・アデアに移りました。海外メディアも「個体数の崩壊」といった強い言葉で伝えており、気候変動の影響を象徴する事例として注目されています。
「Fat Bear Week」はBackpackが優勝
明るい話題としては、米アラスカ州カトマイ国立公園の恒例イベント「Fat Bear Week(太ったクマ週間)」があります。冬眠に備えて、どのクマが最も太ったかを投票で競うこの企画で、今年は20歳の雄のハイイログマ「Backpack(89番)」が優勝しました。決勝では昨年の王者「Chunk」を破り、投票数は10万票を超える盛り上がりでした。
Backpackは過去の優勝者Hollyの息子であることから、「ネポベイビー(親の七光り)」として話題にもなりました。かわいらしい人気投票という面だけでなく、サケを食べて冬に備えるクマの生態や、サケ資源と生息環境の大切さを伝える機会にもなっています。
その他の研究・保全のトピック
- 世界最高齢のゾウガメ「ジョナサン」のゲノム解析
英領セントヘレナ島に暮らす推定194歳のアルダブラゾウガメの解析結果が、科学誌『Science Advances』に発表されました。ミトコンドリアの機能維持やDNA修復に関わる遺伝子がよく制御されていることが分かり、DNAメチル化の一部は5歳の若い個体並みだったといいます。発がん抑制やテロメア維持に関わる特徴も確認され、人間の老化研究への応用が期待されています。 - タコと鏡
タコが鏡に映ったカニを手がかりに正しい場所へ進む行動が確認され、無脊椎動物で鏡を利用した行動が初めて記録されたと報じられました。 - ゾウのコミュニケーション
野生のアフリカゾウが、相手の動きを見ながら体の動きを意図的な合図として使っている可能性を示す研究が紹介されました。 - クジラの新亜種の可能性
アラビア海のザトウクジラが、既知の3亜種と遺伝的に大きく異なり、第4の亜種である可能性が示されました。 - メコン川の巨大淡水魚の保護
絶滅の危機にある世界最大級の淡水魚を守るため、24時間ホットラインやアプリ、緊急対応チームなどの取り組みが進んでいます。 - ボリビアで野生ネコの新種
100年以上ぶりとなる野生ネコの新種発見も話題になりました(論文は9月に発表)。
日本国内の話題
トキが滋賀県で初確認
環境省は10月9日、新潟県の佐渡島から飛来したとみられるトキ1羽が滋賀県高島市で確認されたと発表しました。確認されたのは6月18日(田んぼで採餌)と8月21〜29日(畑や水路など)で、福井県敦賀市でも5月に同一個体とみられる姿が上空で確認されています。2008年に佐渡で初めて放鳥されて以来、滋賀県での確認は初めてで、佐渡から300km以上離れた場所への飛来確認も初めてです。
一方で、SNSで目撃情報が広まって撮影する人たちが殺到したため、トキはすでに姿を消したとみられています。環境省は、居場所が特定されるような情報発信を控え、静かに見守るよう呼びかけています。
和歌山県で初の「緊急銃猟」によるクマ駆除
10月6日、和歌山県古座川町で、シカ捕獲用のくくりわなに前脚がかかったツキノワグマ1頭が、緊急銃猟によって捕殺されました。
県内での緊急銃猟は初めてです。生活道路沿いで暴れている危険な状況と判断し、町の判断で狩猟免許を持つ職員が散弾銃で駆除しました。
体長約1.3m、体重約71kgの雄で、直前に県内でクマによる人身被害が相次いでいたこともあり、緊迫した対応となりました。このほか、埼玉・栃木・新潟・北海道などでも、ツキノワグマやヒグマの目撃情報が複数報告されています。
ノースサファリサッポロに残る約220匹
札幌市南区の閉園した民間動物園「ノースサファリサッポロ」では、無許可建築物の撤去期限(10月末)が迫るなか、園内になお約220匹の動物が残っていることが報じられました。
10月2日には札幌市開発審査会が、運営会社による除却命令の取り消し請求を棄却しています。動物は新会社「北海道アニマルワールド」が飼育を続けており、健康状態に大きな問題はないとされていますが、移転先は決まっていません。
市は期限内の撤去を求めており、違反があれば刑事告発も辞さない構えと報道されています。
男鹿水族館GAOのモモ太が展示休止
秋田県の男鹿水族館GAOでは、人気のホッキョクグマ「モモ太」(2025年12月生まれ)と母親の「モモ」の展示が、10月7日午後から休止されています。
モモ太の体調に経過観察が必要になったためで、監視カメラ付きの部屋でスタッフが様子を見守っており、今のところ大きな変化はないということです。再開のめどは立っていません。
酷暑が動物園に残した課題
この夏の厳しい暑さによって動物園で動物が死ぬケースが目立ち、飼育環境の見直しを議論する動きも出ています。
どのような対策が立てられているかはこちらのページでご紹介しています。
今週のまとめ
今週は、気候変動を映すペンギンの激減、世界を沸かせたFat Bear Week、日本では貴重なトキの飛来とクマをめぐる緊迫した対応など、動物と人間の距離感を考えさせられるニュースが目立ちました。
トキの一件が示すように、動物を見守る側のふるまいも問われています。
来週もどんな動物ニュースが届くのか、注目していきたいと思います。



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