ドッグフードやキャットフードを探していると、「グレインフリー」という言葉を目にすることがあります。
グレインフリーとは、穀物を使用していないことを意味します。
穀物を避けたい飼い主にとって魅力的に感じられる一方、
「普通のフードより健康によいの?」
「犬や猫は穀物を食べても大丈夫?」
「アレルギー対策になる?」
と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
実は、グレインフリーだからといって、すべての犬や猫に適しているわけではありません。穀物を使用したフードにも、栄養バランスを考えて作られた商品が数多くあります。
この記事では、グレインフリーの意味やグルテンフリーとの違い、メリット・デメリット、フードを選ぶ際の注意点を初心者にもわかりやすく解説します。
グレインフリーとは?

グレインフリーとは、英語の「Grain(穀物)」と「Free(含まない)」を組み合わせた言葉で、穀物を使用していないことを意味します。
犬用のドッグフードや猫用のキャットフードでは、小麦や米、とうもろこしなどの穀物を原材料に使用していない商品を指すのが一般的です。
グレインフリーのフードには何が使われている?
穀物を使用しないフードでは、穀物の代わりに、いも類や豆類などを炭水化物源として使用することがあります。
例えば、次のような原材料が挙げられます。
| 原材料 | 主な特徴 |
|---|---|
| じゃがいも | 炭水化物を含み、エネルギー源として利用される |
| さつまいも | 炭水化物を含み、食物繊維なども摂取できる |
| エンドウ豆 | たんぱく質や炭水化物、食物繊維などを含む |
| ひよこ豆 | たんぱく質や炭水化物、食物繊維などを含む |
| タピオカ | キャッサバという植物の根から作られ、主に炭水化物源として利用される |
ただし、これらの原材料が必ず使われているわけではありません。実際の原材料は商品によって異なります。
また、グレインフリーだからといって、必ずしも炭水化物が少ないとは限りません。穀物を使わなくても、いも類や豆類などによって炭水化物を摂取することがあるためです。
グレインフリーは、原材料の特徴を表す言葉であり、栄養価や健康への効果を保証するものではありません。
グレインフリーとグルテンフリーの違い
グレインフリーとよく似た言葉に「グルテンフリー」があります。
どちらも特定の原材料を避けることに関係しますが、意味は異なります。
| 比較項目 | グレインフリー | グルテンフリー |
|---|---|---|
| 意味 | 穀物を使用していない | グルテンを含まない |
| 主に避けるもの | 小麦、米、とうもろこしなどの穀物 | 小麦などに含まれるグルテン |
| 米の使用 | 原則として使用しない | グルテンを含まない米は使用できる |
| とうもろこしの使用 | 原則として使用しない | グルテンを含まないとうもろこしは使用できる |
| 主な確認ポイント | 穀物全般の使用の有無 | グルテンを含む原材料の使用の有無 |
※グルテンフリーの具体的な表示や基準は、商品や適用されるルールによって異なる場合があります。
そもそもグルテンとは?
グルテンとは、小麦などの穀物に含まれるたんぱく質が水分と混ざり合って形成されるものです。
人間の食品では、パンや麺類などの弾力や食感に関係しています。
グレインフリーは穀物全般を使用しないことを意味するのに対し、グルテンフリーはグルテンを含まないことを意味します。
そのため、グルテンを含まない米やとうもろこしを使用していても、グルテンフリーのフードとして成立する場合があります。
一方、グレインフリーのフードでは、穀物を避けるため、グルテンを含む穀物も原則として使用しません。
ただし、グレインフリーとグルテンフリーのどちらを選ぶべきかは、ペットが避ける必要のある原材料によって異なります。
犬や猫は穀物を食べても大丈夫?

グレインフリーについて調べると、「犬や猫は穀物を消化できない」「本来は肉を食べる動物だから穀物は必要ない」といった情報を目にすることがあります。
しかし、犬や猫が穀物を一切消化できないというわけではありません。
犬は穀物を消化できる?
犬は、適切に加熱・加工された穀物に含まれるでんぷんを消化し、エネルギー源として利用できます。
でんぷんとは、植物に含まれる炭水化物の一種です。米やとうもろこしなどに含まれ、体内で消化されるとエネルギー源として利用されます。
犬は進化の過程で、人間と生活する環境に適応してきた動物です。穀物を含む食事を利用する能力も持っています。
そのため、健康な犬に穀物を含むフードを与えること自体が、問題になるわけではありません。
もちろん、穀物の種類や加工方法、フード全体の栄養設計によって消化性は異なります。穀物を含んでいるかどうかだけで、フードの品質を判断することはできません。
猫は穀物を消化できる?
猫は犬と異なり、肉を中心とした食事に適応した「完全肉食動物」です。
完全肉食動物とは、動物性の栄養源への依存度が高く、食事から特定の栄養素を適切に摂取する必要がある動物を指します。
猫には、タウリンなどの栄養素を食事から十分に摂取する必要があるという特徴があります。
一方で、完全肉食動物であることと、穀物をまったく消化できないことは同じではありません。
適切に加熱・加工された穀物のでんぷんは、猫も消化して利用できます。
猫の食事では、穀物の有無だけでなく、猫に必要な栄養素が適切に含まれているかどうかが重要です。
犬も猫も、穀物が含まれているという理由だけで、そのフードが体に悪いと判断する必要はありません。
グレインフリーフードのメリット
グレインフリーには、穀物を避けたい場合の選択肢になるというメリットがあります。
ただし、すべての犬や猫に特別な健康上の利点があるわけではありません。どのような場合に役立つのかを理解しておきましょう。
1. 穀物を避けたい場合に選択肢になる
犬や猫の食事管理で、特定の穀物を避ける必要がある場合、グレインフリーのフードが選択肢になることがあります。
例えば、獣医師による診断や食事管理の方針に基づき、複数の穀物を避ける必要があるケースです。
ただし、食物アレルギーの原因は穀物だけではありません。肉や乳製品など、動物性の原材料が原因になる場合もあります。
そのため、穀物を使用していないフードを選べば、すべての食物アレルギーに対応できるわけではありません。
2. 穀物以外の原材料を選べる
グレインフリーのフードには、穀物の代わりに、いも類や豆類などを使用した商品があります。
そのため、特定の原材料を避けたい場合や、原材料の選択肢を広げたい場合に役立つことがあります。
ただし、穀物を避けること自体が栄養面で優れているという意味ではありません。
フード全体の栄養バランスや、ペットの健康状態に合っているかどうかを確認することが大切です。
3. 原材料の特徴を比較しながら選べる
グレインフリーのフードを検討することで、原材料欄や成分表示を見る習慣が身につきます。
たんぱく質や脂質、炭水化物などの栄養成分を確認し、どのような原材料が使われているのかを比較するきっかけにもなります。
ただし、原材料の数が少ないことや、特定の原材料を使っていないことだけで、フードの品質が決まるわけではありません。
ペットに必要な栄養を過不足なく摂取できることを優先して選びましょう。
グレインフリーフードのデメリットと注意点
グレインフリーには選択肢としてのメリットがある一方で、知っておきたい注意点もあります。
1. 穀物アレルギーがない場合、特別なメリットがあるとは限らない
グレインフリーのフードは、穀物を使用していないことが特徴です。
しかし、健康な犬や猫にとって、穀物を避けること自体が健康維持に有利であると示す十分な科学的根拠は確立されていません。
穀物を使用したフードでも、必要な栄養素を適切に摂取できるように設計された商品はあります。
そのため、「グレインフリーだから健康によい」「穀物入りだから体に悪い」といった考え方ではなく、栄養バランスや健康状態を基準に選ぶことが重要です。
2. 穀物の代わりに使われる原材料にも注意が必要
グレインフリーのフードでは、穀物の代わりに、じゃがいもや豆類などが使用されることがあります。
これらの原材料も、栄養バランスを整えるために利用されますが、ペットの体質や健康状態によって適した食事は異なります。
また、グレインフリーという表示だけでは、たんぱく質や脂質、炭水化物の量はわかりません。
原材料の特徴だけでなく、成分表示やカロリーも確認しましょう。
3. 一般的なフードより価格が高い場合がある
グレインフリーのフードには、原材料や製造方法などにこだわった商品があり、一般的なフードより価格が高い場合があります。
ただし、グレインフリーであることだけで価格が決まるわけではありません。
原材料、製造方法、内容量、販売価格などを比較し、無理なく継続できる商品を選ぶことが大切です。
4. 犬では心臓病との関連が研究されている
グレインフリーのドッグフードについては、一部の食事と犬の拡張型心筋症との関連が調査されてきました。
拡張型心筋症とは、心臓の筋肉が弱くなり、心臓が血液を十分に送り出しにくくなる病気です。
米国食品医薬品局(FDA)などは、犬の拡張型心筋症と食事との関連について調査を行ってきました。報告された食事には、グレインフリーのものや、豆類・いも類などを多く含むものがありました。
ただし、グレインフリーのフードが拡張型心筋症を引き起こすと、因果関係が確定したわけではありません。
食事と病気の関係には、原材料の組み合わせや栄養バランス、犬の体質など、さまざまな要因が関わる可能性があります。
この情報だけを根拠に、すべてのグレインフリーフードが危険だと判断することも適切ではありません。
一方で、グレインフリーであることだけを理由に、心臓の健康によいと考える根拠もありません。
愛犬のフードを選ぶ際は、穀物の有無だけで判断せず、栄養設計や製品の情報を確認しましょう。心臓病などの持病がある場合や、食事の変更を検討している場合は、獣医師に相談することが大切です。
グレインフリーはアレルギー対策になる?

グレインフリーのフードを検討する理由の一つに、食物アレルギーへの対策があります。
しかし、食物アレルギーが疑われる場合は、穀物を避けるだけでよいとは限りません。
食物アレルギーとは?
食物アレルギーとは、食事に含まれる特定の成分に対して免疫が過剰に反応し、皮膚や消化器などに症状が現れる状態です。
免疫とは、体を細菌やウイルスなどの異物から守るための仕組みです。食物アレルギーでは、この仕組みが本来は問題のない食物成分に反応してしまいます。
犬や猫の食物アレルギーでは、次のような症状が見られることがあります。
- 皮膚を頻繁にかく、なめる
- 耳の炎症を繰り返す
- 下痢や嘔吐などの消化器症状が見られる
ただし、これらの症状は、寄生虫や感染症、ほかの病気などでも起こります。症状があるからといって、食物アレルギーだと断定することはできません。
穀物以外が原因になることもある
食物アレルギーの原因となる原材料は、穀物だけではありません。
肉類や乳製品など、さまざまな原材料が原因になる可能性があります。
そのため、穀物を使用していないフードに変更しても、原因となる原材料が含まれていれば症状が改善しないことがあります。
また、グレインフリーのフードに使用されている豆類やいも類などが、すべての犬や猫に合うわけでもありません。
食物アレルギーが疑われる場合は、自己判断でフードを次々に変更するのではなく、動物病院で相談しましょう。
食物アレルギーの診断では除去食試験が行われることがある
食物アレルギーが疑われる場合、獣医師の指導のもとで「除去食試験」を行うことがあります。
除去食試験とは、アレルギーの原因となる可能性のある食物を避けた食事を一定期間与え、症状の変化を確認する方法です。
その後、必要に応じて原因となる食物を確認するための試験を行います。
試験中は、指定されたフード以外のおやつやトッピングなども結果に影響する場合があります。そのため、獣医師の指示に従って食事を管理することが重要です。
食物アレルギーの対策では、グレインフリーという表示だけで判断せず、原因となる原材料を適切に特定することが大切です。
グレインフリーのフードを選ぶときのポイント
グレインフリーのフードを選ぶ際は、穀物が使われていないことだけでなく、ペットに必要な栄養を摂取できるかどうかを確認しましょう。
1. 総合栄養食かどうか確認する
毎日の主食として利用する場合は、「総合栄養食」の表示があるかを確認しましょう。
グレインフリーは原材料の特徴を示すものであり、総合栄養食であることを意味するわけではありません。
穀物を使用していなくても、主食として必要な栄養を満たすことを目的としていない商品もあります。
特に、一般食やおやつなどを主食の代わりに与えないよう注意しましょう。
2. 年齢や健康状態に合っているか確認する
子犬・子猫、成犬・成猫では、必要な栄養の量やバランスが異なります。
そのため、フードを選ぶ際は、対象となる成長段階を確認することが大切です。
また、持病がある場合や、獣医師から食事管理を指示されている場合は、自己判断でグレインフリーに切り替えず、事前に相談しましょう。
3. 原材料と成分表示を確認する
原材料欄では、穀物が使用されていないか、どのような原材料が使われているかを確認できます。
成分表示では、たんぱく質や脂質などの含有量を確認できます。
ただし、特定の成分が多いことだけで、フードが優れているとは限りません。全体の栄養バランスを考慮して選びましょう。
4. カロリーと給与量を確認する
同じ量のフードでも、商品によってカロリーが異なることがあります。
カロリーとは、食事から摂取するエネルギー量を表す単位です。必要以上にエネルギーを摂取すると、体重増加につながる場合があります。
パッケージに記載された給与量を参考にしながら、体重や活動量、体型などに応じて調整しましょう。
5. 無理なく続けられる価格か考える
ペットフードは、毎日継続して与えるものです。
価格が高い商品であっても、必ずしも愛犬・愛猫にとって最適とは限りません。
必要な栄養を適切に摂取できることを基本に、品質や価格、入手のしやすさなどを比較して選びましょう。
グレインフリーに関するよくある質問

Q1. グレインフリーのフードは普通のフードより健康によいですか?
必ずしもそうとは限りません。
グレインフリーは穀物を使用していないことを示すものであり、栄養価や健康への効果を保証するものではありません。
穀物を使用したフードでも、必要な栄養素をバランスよく摂取できるように設計された商品があります。
ペットの年齢や健康状態に合ったフードを選ぶことが大切です。
Q2. グレインフリーならアレルギーを防げますか?
グレインフリーにするだけで、食物アレルギーを防げるわけではありません。
食物アレルギーの原因は穀物に限らず、肉類などの原材料にもあります。
また、アレルギーがない犬や猫が、予防のために穀物を避ける必要があるとは限りません。
症状がある場合は、動物病院で相談しましょう。
Q3. グレインフリーのフードには炭水化物が含まれていないのですか?
いいえ。グレインフリーでも炭水化物が含まれることがあります。
穀物の代わりに、じゃがいもやさつまいも、豆類などを使用している商品があるためです。
炭水化物の量は商品によって異なるため、原材料や成分表示を確認しましょう。
Q4. 猫にはグレインフリーのキャットフードを与えたほうがよいですか?
猫は完全肉食動物ですが、穀物をまったく消化できないわけではありません。
猫の食事では、動物性の栄養源への依存度や、タウリンなどの必須栄養素を適切に摂取できるかどうかが重要です。
グレインフリーかどうかだけで判断せず、猫に必要な栄養を摂取できるフードを選びましょう。
Q5. グレインフリーのドッグフードは心臓に悪いのですか?
グレインフリーのドッグフードと犬の拡張型心筋症との関連は調査されてきましたが、グレインフリーのフード全般が病気を引き起こすと因果関係が確定したわけではありません。
一方、グレインフリーだから心臓によいと判断する根拠もありません。
愛犬の健康状態やフードの栄養設計を確認し、心臓病などの持病がある場合は獣医師に相談しましょう。
Q6. グレインフリーのフードに切り替えるときはどうすればよいですか?
健康上の問題がなく、フードを切り替える場合は、一般的に現在のフードに新しいフードを少しずつ混ぜながら、数日から1週間程度かけて移行する方法があります。
ただし、切り替えに必要な期間はペットの体調や商品によって異なります。
食欲や便の状態などを観察し、下痢や嘔吐などの症状が見られた場合は、動物病院に相談しましょう。
食物アレルギーの検査や療法食による食事管理を行っている場合は、自己判断で切り替えず、獣医師の指示に従ってください。
まとめ:グレインフリーという表示だけでフードを選ばないことが大切
グレインフリーとは、穀物を使用していないペットフードのことです。穀物を避ける必要がある場合には選択肢になりますが、すべての犬や猫にとって健康上のメリットがあるわけではありません。
犬や猫は、適切に加熱・加工された穀物のでんぷんを消化して利用できます。また、グレインフリーのフードでも、いも類や豆類などを通じて炭水化物を摂取することがあります。
フードを選ぶ際は、次のポイントを意識しましょう。
- グレインフリーとグルテンフリーの違いを理解する。
- 穀物を使用していないことだけで、健康によいと判断しない。
- 主食として与える場合は、総合栄養食の表示を確認する。
- 年齢や健康状態、栄養バランス、カロリーなどを考慮する。
- 食物アレルギーや持病が疑われる場合は、獣医師に相談する。
ペットフード選びで大切なのは、特定の原材料を避けることだけではなく、愛犬・愛猫に必要な栄養を適切に摂取できることです。
グレインフリーという言葉だけにとらわれず、フードの目的や栄養設計を理解し、ペットに合った食事を選びましょう。
- ペットフード公正取引協議会 — ペットフードの表示や栄養に関する情報
- 犬は穀類が消化できない?グレインフリーのフードを獣医師が解説|いぬのきもちWEB MAGAZINEーいぬのきもち
- 猫のフードはグルテンフリーがいい?|ねこのきもちWEB MAGAZINEーねこのきもち
- 犬にとってグレインフリーフードは心臓病のリスクに?|PETOKOTOーペトコト


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