11月になると、街を歩いていても「秋が深まってきたな」と感じる日が増えてきます。
木々の葉が色づき、朝晩は少しずつ冷え込み、冬の気配も近づいてきます。
そんな季節の変化を感じているのは、私たち人間だけではありません。
動物たちにとっても11月は、冬を迎えるために生活が大きく変わっていく時期です。
遠くから冬鳥がやってきたり、リスが食べ物を隠したり、クマが冬眠に向けて体を整えたり。
一方で、シカやニホンザルなど、秋から冬にかけて繁殖期を迎える動物もいます。
今回は、11月に動物たちの身に起こる変化を見ていきましょう。
「そういえば最近、鳥をよく見かけるようになった」
そんな身近な変化にも、ちゃんと理由があるかもしれません。
11月は動物たちにとって「冬支度」の季節

11月の動物たちをひとことで表すなら、冬への準備期間です。
気温が下がれば、食べ物を手に入れることが難しくなる動物も増えていきます。
そこで動物たちは、それぞれの方法で冬を乗り切ろうとします。
たくさん食べて体にエネルギーを蓄える。
食べ物を隠しておく。
暖かい場所へ移動する。
冬毛に生え変わる。
冬眠に備える。
同じ「冬支度」でも、その方法は動物によってまったく違います。
ここからは、11月ごろに見られる代表的な変化を見てみましょう。
冬鳥が日本へやってくる

11月の空を見上げると、季節の変化を感じるチャンスがあります。
それが冬鳥です。
日本には季節によって移動する鳥が多く、秋になると北の地域から日本へやってくる鳥たちがいます。
環境省によると、日本で見られる代表的な冬鳥には、マガモやコガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、マガン、オオハクチョウなどがいます。
カモ類の多くは9~10月ごろに日本へ渡ってきて、冬を過ごします。
つまり、11月は「冬鳥がやってきた!」というより、すでに日本で冬を過ごす準備を始めている時期なのです。
公園の池や川などで、夏にはあまり見かけなかったカモが増えていたら、それは季節が進んでいるサインかもしれません。
鳥たちは、私たちより一足早く冬を感じ取っているようにも見えます。
リスは冬眠しないのに大忙し?

秋になると、せっせと木の実を運んでいるリスの姿が話題になることがあります。
ここで意外なのが、ニホンリスは冬眠をしないということ。
では、なぜ秋にあれほど忙しそうにしているのでしょうか。
理由のひとつが「貯食」です。
冬になると植物や昆虫などの食べ物が少なくなるため、ニホンリスは秋のうちにクルミなどの食べ物を集め、地面や木の枝などに隠します。
しかも、ひとつの場所に全部まとめて置くわけではありません。
あちこちに分散させて隠すのです。
そして、ここからがリスらしいところ。
自分で隠した場所を忘れてしまうこともあります。
忘れてしまった木の実は、そのまま芽を出すこともあります。
つまりリスは、食料を隠しているだけでなく、結果的に森の植物が増えることにも一役買っているのです。
もちろん、本人は「植林している」つもりなど、もちろんありません。
クマは冬眠に向けて体を準備する

寒くなると「クマは冬眠する」というイメージがあります。
実際、ツキノワグマなどは冬に向けて食べ物をたくさん食べ、体にエネルギーを蓄えていきます。
動物園で飼育されているツキノワグマでも、冬眠前には体重を増やし、冬毛がしっかり生えてくるなどの変化が見られます。
11月は、まさにこうした冬眠に向けた準備が進んでいく時期です。
人間でいえば、
「そろそろ冬になるから、今のうちにいっぱい食べておこう」
という状態でしょうか。
ただし、すべてのクマが同じように冬眠するわけではありません。
地域や個体、環境などによって行動には違いがあります。
また、動物園では飼育環境に合わせて冬の過ごし方が調整されるため、野生のクマとまったく同じ生活をしているわけではありません。
それでも、秋から冬にかけてクマの体や行動が変化していくことは、季節を感じる面白いポイントです。
シカのオスは11月も忙しい

秋の山でシカを見かけたら、少し様子を観察してみるのも面白いかもしれません。
この時期のニホンジカでは、オスの行動が活発になります。
シカのオスは毎年角が生え変わります。
新しい角は春ごろから成長し、夏ごろには成長が止まります。
そして秋になると、角を木などにこすりつける「角こすり」という行動が見られます。
環境省の資料では、この行動は11月ごろまで続き、シカの発情期とも重なることから、マーキング行動の一種と考えられています。
秋の森で木の樹皮が剥がれている場所を見つけたら、
「これ、シカの仕業かも?」
と考えてみるのも面白いでしょう。
動物がそこにいた証拠が、森の中に残されているかもしれません。
サケは川をさかのぼって産卵へ

秋から冬にかけて、川で大きな魚を見かけることがあります。
代表的なのがサケです。
サケは海で成長したあと、生まれた川へ戻って産卵します。
地域によって時期は異なりますが、農林水産省の資料では、福島県などでは9月下旬から11月ごろに産卵のためサケが川を遡上するとされています。
海で暮らしていたサケが、川を上っていく姿はまさに秋の風物詩。
そして、たどり着いた川で卵を産み、次の世代へ命をつないでいきます。
「秋になるとサケが川を上る」
という現象の裏側には、長い旅と繁殖という大きな目的があります。
秋の川は、実は動物たちにとって人生の大イベントが起こる場所なのです。
ニホンザルは「恋の季節」を迎える

冬支度をしている動物ばかりではありません。
11月ごろ、繁殖期を迎えている動物もいます。
その代表のひとつがニホンザルです。
多摩動物公園では、飼育しているニホンザルの繁殖行動が10~11月ごろに最盛期を迎えると紹介されています。
ニホンザルはおおむね4~6月ごろに出産するため、そこから逆算すると秋ごろが繁殖の重要な時期になります。
秋になると、オスとメスの体や行動にも変化が見られます。
人間から見ると、
「寒くなってきたから、みんなでじっとしているのかな?」
と思ってしまいそうですが、サルたちにとってはむしろ大事な季節。
冬に向かう11月は、動物たちの「恋の季節」でもあるのです。
冬毛に変わっていく動物もいる
動物たちの冬支度は、食べ物だけではありません。
体そのものを冬仕様に変える動物もいます。
その代表が「冬毛」です。
動物によって変化の時期や程度は異なりますが、寒い季節に合わせて毛が長くなったり、密になったりする種類があります。
私たち人間が冬になると厚手のコートを着るように、動物たちは自分自身の体を「冬仕様」に変えていくわけです。
しかも、動物によっては冬毛が単なる防寒具ではありません。
繁殖期のアピールや、体の色の変化など、別の役割が関係している場合もあります。
動物園で「なんだか前より毛がモフモフしている?」と思ったら、冬の装いに変わっている途中なのかもしれません。
11月の動物は「寝る」だけじゃない
「冬になると動物は冬眠する」
というイメージがありますが、実際には動物たちの冬の過ごし方はさまざまです。
冬眠する動物もいれば、冬眠せずに活動を続ける動物もいます。
食べ物を貯める動物。
体に脂肪を蓄える動物。
暖かい場所へ移動する動物。
冬毛に変わる動物。
繁殖活動を行う動物。
そして、日本へ渡ってくる動物。
11月は、こうした変化が同時に起こる季節です。
私たちが「寒くなってきたな」と感じているころ、森や川、空の上では、動物たちがそれぞれの方法で次の季節へ進んでいます。
11月に動物を観察するなら、ここに注目
11月に動物を観察するなら、単純に「動物がいるか」だけを見るのではなく、夏や春と何が違うのかに注目してみるのがおすすめです。
たとえば、公園なら池にカモが増えていないか。
道端でみかける鳥に変化がないか?
森なら木の実を運ぶ動物の痕跡がないか。
山ならシカが残した角こすりの跡がないか。
川ならサケが遡上していないか。
動物園なら、毛並みや動きに変化がないか。
こうして見ると、普段何気なく通っている場所でも、意外とたくさんの「動物の冬支度」を見つけられたりします。
まとめ|11月は動物たちの生活が変わる季節
11月は、動物たちにとって大きな季節の変わり目です。
冬鳥が日本へやってきて、リスは食料を隠し、クマは冬眠に備えます。
シカのオスは繁殖期を迎え、サケは川を遡り、ニホンザルも繁殖活動が盛んになります。
一見すると、それぞれまったく違う行動に見えます。
しかし、その根底にあるのは、「季節の変化に合わせて生き方を変える」ということです。
11月に外へ出たときは、少しだけ動物たちの目線で周囲を見てみてください。
空を飛ぶ鳥。
池に集まるカモ。
木の実を探すリス。
森に残されたシカの痕跡。
川を上るサケ。
動物たちは、私たちが気づかないところで着々と冬への準備を進めています。
「11月って、動物にとってこんなに忙しい季節だったんだ」
そう思えると、いつもの秋が少し違って見えてくるかもしれません。


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