「シルクのように真っ白でふわふわなマルチーズを家族に迎えたいけれど、初心者でも上手に育てられる?」 「世界最古の愛玩犬って本当? 気が強くて吠えやすいって噂は本当?」
まるで真っ白な綿あめのようにふわふわとした愛らしい姿、潤んだ大きくて黒い瞳、そして軽やかにトコトコと歩く気品ある佇まい。日本の人気犬種ランキングでも長年にわたり常に上位をキープし、幅広い世代から「究極の癒し犬」として愛され続けているのが「マルチーズ」です。
しかし、そのお人形さんのような愛らしさの裏には、実は意外なほどの「勇敢さ」や「賢さ」、そして「活発な遊び好き」という魅力的なギャップがギュッと詰まっています。「白い毛をいつも綺麗に保てるかしら?」「無駄吠えや噛み癖の対策はどうすればいいの?」と、お迎えを前に一歩踏み出せない方も少なくありません。
実はマルチーズは、「抜け毛や体臭が全犬種の中でもトップクラスに少ない」「世界最古の愛玩犬として人間と暮らす遺伝子を完全に備えている」「お家の中でも十分に運動量を満たせる超小型サイズ」など、正しいコミュニケーションとしつけのコツさえ押さえれば、日本の住環境において初心者にもこれ以上ない素晴らしいパートナーになってくれます。
この記事では、マルチーズの魅力を余すことなく伝えるため、地中海の楽園からヨーロッパの宮廷犬へと愛された激動の歴史やサイズ規定から、オス・メスによる性格の違い、お迎えにかかるリアルな費用、怪我や病気を防ぐお部屋のカスタマイズまで、前後編合わせて約9,000文字を超える圧倒的なボリュームで徹底解説します。
これからお迎えしたいと考えている方はもちろん、すでに一緒に暮らし始めてもっと絆を深めたい方も、ぜひ最後までお読みいただき、愛嬌たっぷりの真っ白な相棒との豊かなドッグライフに役立ててください。
1. マルチーズとは?歴史と基本情報

マルチーズの魅力に深く迫るために、まずはそのゴージャスな被毛の理由や、歴史的なルーツ、サイズ・寿命といった基本的なプロフィールから紐解いていきましょう。
マルチーズの起源と歴史:地中海のマルタ島から始まった「世界最古の愛玩犬」
マルチーズの原産国はイタリア(地中海地域)、特にその中心に位置する「マルタ島」です。
実はマルチーズは、多くの犬種が持っている「作業犬(猟犬や牧羊犬など)のルーツ」を一切持っていません。生まれたその瞬間から、ただひたすらに人間の心を癒し、寄り添うために生み出された「世界最古の愛玩犬」という、めずらしい血統を持っています。
その歴史は驚くほど古く、紀元前1500年頃、地中海を交易していたフェニキア人の水夫たちが、マルタ島に白い犬を持ち込んだのが始まりとされています。古代エジプト、古代ギリシャ、そしてローマ帝国の時代から、貴族や王室の女性たちの「抱き犬」として絶大な人気を誇っていました。哲学者アリストテレスが書物の中に「美しい白い犬」として記録を残しているほどです。
14世紀にイギリスへ渡ると、その美しさはさらに磨かれ、エリザベス1世やヴィクトリア女王といったイギリス王室の女性たちをはじめ、ヨーロッパ各国の宮廷でステータスシンボルとして溺愛されました。過酷な歴史を生き抜く中で、人間に寄り添い、愛されることを生きがいとする「究極の家庭犬」としての遺伝子が、何千年にわたって洗練されてきたのです。
サイズ別の分類:「世界最小クラス」のコンパクトな美しさ
JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)において、マルチーズのサイズ基準は「体重」によって公認されています。
体重の目安:2.0kg〜3.0kg前後(上限3.2kgまで)
チワワやトイプードルに並ぶ「世界最小クラス」の超小型犬に分類されるマルチーズですが、その骨格は意外にもがっしりとしており、均整の取れたコンパクトな体型をしています。
とても華奢でデリケートな存在であるため、見た目のエレガントさとは裏腹に、日常のちょっとした転倒やジャンプなどによるケガには細心の注意を払う必要があります。
近年、ペットショップなどで「極小マルチーズ」や「ティーカップマルチーズ」といった俗称で、成犬になっても体重が1.5kgを下回りそうな非常に小柄な個体が紹介されることがあります。
しかし、これらは公式に認められた独立した犬種ではなく、骨の未発達や低血糖症、関節トラブル(膝蓋骨脱臼)などのリスクを抱えやすいため、お迎えの際には親犬のサイズや健康状態をしっかりと確認することが大切です。
マルチーズ最大の特徴:絹糸(シルク)のような純白の被毛
マルチーズをマルチーズたらしめているのは、なんといってもあの「シルク」のように美しく、艶やかに床まで届く極上のホワイトロング被毛です。
- シングルコートの強み: マルチーズの被毛は、下毛(アンンダーコート)を持たない一重構造の「シングルコート」の犬種です。 人間の髪の毛と非常によく似た性質を持っており、細くて柔らかく、古い毛が自然に抜け落ちる量が極めて少ないため、家の中が毛だらけになる心配はありません。
- カラーの基準: 基本的には「純白(ピュア・ホワイト)」が絶対的な理想とされています。 ただし、わずかに淡い「レモン(ごく薄い黄色)」や「タン(ごく薄いベージュ)」の差し毛が入る個体も許容されていますが、成長するにつれて多くの個体が美しい純白へと変化していきます。
マルチーズの寿命:美しく健やかに歳を重ねる長寿犬
マルチーズの平均寿命は、およそ12歳〜15歳前後と言われています。
これは小型犬の中でも長い部類に入り、適切な体重管理や関節への配慮、そして日々の丁寧なお手入れを行っていれば、18歳や20歳近くまで元気に生きる個体も決して珍しくありません。
古代から家の中で大切に育てられてきた歴史から、外的なストレスに比較的強く、健康寿命をさらに引き延ばしやすいのも大きな特徴です。
マルチーズの性格を徹底解剖!

マルチーズは、単なるおとなしいお人形さんのような愛玩犬ではありません。人間に愛されてきた気高さと、テリアのような「勇敢さ・活発さ」を兼ね備えた魅力的な性格をしています。
マルチーズの基本的な性格の3大特徴

① 明るくフレンドリーで「人懐っこい甘えん坊」
マルチーズはとにかく人間が大好きで、非常に愛情深い犬種です。
誰に対しても愛嬌を振りまく社交的な素質を持っており、家族はもちろん、初めて会った人や他の犬、時には猫などの別のペットとも「仲良く過ごせる協調性の高さ」を発揮します。
飼い主さんの表情をじっと観察し、そっと膝の上に飛び乗ってくるような、寄り添いってくれます。
② 実は勇敢で気が強い「テリアのような一面」
古代マヤの宮廷で愛される一方で、実は船の中の「ネズミ捕り」としても活躍した歴史(諸説あり)があるため、非常に勇敢で物怖じしない一面を持っています。
自分の体よりもはるかに大きな大型犬に対しても威風堂々と向き合うような負けん気の強さがあり、プライドが高く、お留守番の時などにテリトリーを守ろうとする警戒心を示すこともあります。
③ 好奇心旺盛で非常に「知的かつ活発」
おとなしそうな見た目とは裏腹に、走ることやおもちゃで遊ぶことが大好きで、非常にアクティブです。
状況を判断する知能が高いため、「これをしたら飼い主さんが喜んでくれた」といった学習能力が抜群に優れています。
知的な刺激を求めるため、ただお腹を満たすだけでなく、知育玩具を使って自分で考えて行動することも好きな性格の子が多いです。
オスとメスでの性格の違い
性別によっても、日常生活で見せる甘え方や、遊びのテンションに一定の傾向の違いがあります。
- オス(男の子)の傾向
「いつでも僕を一番に愛して!」という、ストレートで無邪気な甘えん坊です。いつまでもやんちゃな少年のような遊び心を持っており、飼い主さんに対して全力で愛情表現をします。少し単純で分かりやすい性格のため、しつけが比較的スムーズに入りやすい傾向があります。 - メス(女の子)の傾向
オスに比べると精神的な自立が早く、おっとりしたスマートな子が多いです。 家族の表情や空気を一歩引いたところから冷静に観察しており、ベタベタ甘えてくる時と、自分のお気に入りのベッドで静かに過ごす時のオン・オフがはっきりしています。少し頑固で、自分のルールを持っている「女王様」のような魅力があります。
美しい顔立ちを左右する「色素」と「涙やけ」のポイント
マルチーズのお顔の美しさを際立たせるのは、純白の毛色と、アイラインやお鼻の「真っ黒な色素」のコントラストです。
- お鼻の色(ハロー・エフェクト)
真っ黒なお鼻と、アイライン、そして肉球が理想とされます。冬場に日照時間が短くなると、お鼻の色がピンク色に薄くなる「ウィンター・ノーズ」と呼ばれる現象が起きることがありますが、これは生理的なもので健康上の心配はありません。 - 涙やけのケアが美しさを守る鍵
真っ白な毛質ゆえに、目の周りの毛が涙で赤茶色に変色してしまう「涙やけ」が目立ちやすい犬種として知られています。こまめな涙の拭き取りや、アレルギーに配慮したフード選びなど、丁寧なお手入れがマルチーズの輝くような美しさをキープする最大のカギとなります。
なぜマルチーズが初心者におすすめなのか?選ばれる5つのメリット

「真っ白な毛のお手入れが大変そう……」という先入観を覆し、現代の日本の住環境においてこれほど多くのマルチーズが愛され続けているのには、以下の「5つの圧倒的な飼いやすさのメリット」があるからです。
① シングルコートで「抜け毛」が極めて少ない(アレルギー対策にも)
室内で犬を飼う上で、多くの人が気にしている点が「床や服が毛だらけになる」という悩みです。しかし、マルチーズはアンダーコート(下毛)を持たないシングルコートの犬種です。
人間の髪の毛のように、古い毛がブラッシング時以外に自然と抜け落ちる量が極めて少ないため、「日常生活で抜け毛に悩まされることがほとんどない」という絶大な強みを持っています。
また、犬特有の「獣臭(体臭)」も非常に少なく、お部屋に匂いがつきにくいのも大きなメリット。犬アレルギーの原因となるフケや抜け毛が舞い散りにくいため、比較的アレルギー反応が出にくい犬種としても知られています。
② 「世界最古の愛玩犬」ならではの抜群の家庭順応性
何千年も前から、人間に「抱かれるため」だけに愛されてきた歴史を持つマルチーズは、「人間と一緒に室内で暮らすことの適応能力」が遺伝子レベルで完成されていると言っても過言ではありません。
人間を噛んだり、激しく威嚇したりするような野性味や攻撃性が最初から極めて低く、どのようなライフスタイルのご家庭でも、まるでパズルのピースがはまるようにすんなりと調和してくれます。
③ 毎日の「お散歩(運動量)」の負担が極めて少ない
中・大型犬のように、「雨が降っても毎日1時間以上の散歩に行く」という必要が全くありません。
マルチーズは体が小さいため、お部屋の中を軽くおもちゃを追いかけて走り回るだけでも、彼らにとっては十分な運動量になります。
もちろん、社会性を養うためやストレスの発散に散歩は必要ですが、目安としては「1回15分〜20分程度、1日1回」ののんびりとしたお散歩で十分に満足してくれます。仕事や家事で忙しい方のライフスタリうにもピッタリです。
④ 非常に知的で、人間の「言葉」や「意図」を察する能力が高い
何世代にもわたって人間の言葉や表情に寄り添ってきたマルチーズは、飼い主さんの声を本当によく聞いています。
「今は静かにしていないといけないな」「これをしたら飼い主さんが喜んでくれた」といった学習能力が抜群に優れているため、信頼関係をしっかりと築き、一貫した正しい方法でしつければ、トイレやお留守番のルールを驚くほどあっさりと習得してくれます。
⑤ 豊富な「カットスタイル」で自分だけの個性を楽しめる
マルチーズは毛が伸び続ける犬種のため、定期的なトリミングが必要です。 これは一見手間に思えますが、実は「愛犬を自分好みのスタイルにデザインできる」という最大の魅力でもあります。
- フルコート(ショースタイル): シルクのような長い毛を地面に着くほど伸ばす、マルチーズ本来の高貴さを極限まで引き立てる伝統的なスタイル。日々のブラッシングが大変ですが、その美しさは圧倒的です。
- パピーカット / テディベアカット: 体全体の毛を短くすっきりと丸く刈り込み、まるで子犬やトイプードルのように幼く愛らしく変身させる、近年最も人気の高いスタイル。お手入れの手間も劇的に減らすことができます。
季節やライフステージ、お手入れのしやすさに合わせて、愛犬の「可愛いデザイン」を自由自在に楽しめるのは、マルチーズならではの贅沢な楽しみです。
ここまでは、マルチーズの歴史、サイズ規定、カラーや性別による性格の違い、マルチーズのおすすめの理由をご紹介しました。
次のページでは、実際にお迎えする際に必要なお金の話から、マルチーズのしつけの方法、美しさを保つ方法やケガや病気を徹底予防するため部屋づくりについて詳しくご紹介します。



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