マレーグマというクマをあなたはご存知でしょうか?
日本各地の動物園でも、13箇所で見ることができ国内で19頭展示されています。
そんなマレーグマですが、現在絶滅の危機に瀕しているのはご存知でしょうか?
国際的取り決められているレッドリストにはVU(IUCNレッドリストの危急種)に分類されており、野生のマレーグマは絶滅の危機的状況に陥っています。
そんなマレーグマの現状とマレーグマを保護している団体、ボルネオマレーグマ保護センター Japan(以下BSBCC Japan)の2つについてご紹介します。
マレーグマはどんな動物なの?
マレーグマはボルネオ島やスマトラ島、アジア本土に生息しているクマの仲間です。
世界にいる8種のクマの中で最も小さいクマとして知られています。
ツキノワグマのような、胸部にU字のような模様があり、英語で『サンベア(Sun Baer)』太陽のクマと呼ばれています。
マレーグマが絶滅の危機になぜ?
アジア各地に生息するマレーグマがなぜ絶滅の危機に瀕しているのでしょうか?
その理由は、パーム油の生産によるプラテーション(土地開発のようなもの)による大量で急速な森林破壊や環境破壊によるものが一番の原因といわれています。
他にも、『ペットや漢方・薬、毛皮などを目的に密猟』『ペット取引や違法飼育』『交通事故』などが絶滅の主な原因となっています。
マレーグマがいなくなると問題なの?
マレーグマは現地で害獣として扱われることもある動物です。
なら別に絶滅してもいいのでは無いの?と思いますよね?
ただ、マレーグマが絶滅してしまうと私たち人間や他の動物たちにとっても大きな被害が生まれてしまい、自然環境の破壊がより深刻な問題になってしまいます。
そんなマレーグマの生態系の役割の一部をご紹介しますね。
マレーグマの絶滅で起こる環境問題①植物が繁殖できない
世界的にも森林の減少が問題になっています。
なんとマレーグマは植物の種子の発芽の役割もになっています。
マレーグマは種を飲み込み、フンとして別の場所に排泄します。
こうして種を新しい場所に運ぶ役割があります。
こうした、生態系を保つ役割を担っています。
マレーグマの絶滅で起こる環境問題②土を耕す
植物が育つためには土壌の環境が良く無いと育ちません。
人間が作物を育てる前に土を耕し環境を整えることを行います。
マレーグマは植物の根っこや土の中にいる昆虫をたべるためその時に土を掘り起こし、土壌を循環させてくれる、役割もあります。
マレーグマの絶滅で起こる環境問題③他の動物たちの住居を作る
マレーグマは食事を探す時に木に穴をあけることがあります。
この穴はウロとなり、鳥や小動物たちの住居になり次の世代へと繋がっていきます。
マレーグマの絶滅で起こる環境問題④シロアリ退治
マレーグマの主食はシロアリというぐらい大好物の食べ物です。
シロアリと聞くと思い浮かぶように木を食べてしまいます。
マレーグマが絶滅してしまうと、シロアリが異常繁殖をしてしまい、木々が亡くなってしまう可能性が生まれてしまいます。
マレーグマを守るボルネオマレーグマ保護センター(BSBCC)はどのような団体?消えゆくマレーグマを守るための取り組み
マレーグマは、世界で最も小型のクマとして知られており、その愛らしい姿と好奇心旺盛な性格から多くの人々に親しまれているクマとして紹介しました。
しかし、密猟や森林破壊により、その生息数は急速に減少しています。
そんなマレーグマの保護団体として2024年4月3日より一般社団法人として
『一般社団法人ボルネオマレーグマ保護センタージャパン(BSBCC japan)』
が発足されました。
BSBCCではマレーグマを守るために、環境教育やさまざまな保護活動を行っています。
BSBCCの設立と使命
BSBCC Japanは、マレーグマの保護を目的として設立された非営利団体です。
BSBCCの現地での発足は2008年まで遡ります。
ボルネオ島に拠点を置き、傷ついたり、孤児となったマレーグマのリハビリテーションやふたたび野生に戻すための訓練などを行っています。
また、広範な教育活動を通じて、マレーグマとその生息地の保護に力を入れています。
マレーグマの現状と脅威
マレーグマは、その体が小さく、丸い耳と長い舌を持つ特徴的な姿で知られています。
しかし、森林伐採による生息地の減少や、薬用やペット目的の密猟が原因で、絶滅の危機に瀕しています。
BSBCCは、こうした脅威に対処するため、地域社会と連携し、保護活動を展開しています。
BSBCCの主な活動内容
BSBCCは、以下の5つの主要な活動を通じて、マレーグマの保護の活動を行っています。
BSBCCの主な活動①動物福祉
現在、44頭のマレーグマを保護しており、保護区内で野生復帰を目的として保護活動を行っています。
保護区内ではマレーグマの専門家とともに設計した施設やアクティビティにより、日本で言うところの環境エンリッチメントを意識した取り組みを行っています。
また、中には子グマを保護することもあり、そういった時には自立するまでの手助けも行なっています。
BSBCCの主な活動①リハビリテーションと再導入
密猟や事故で傷ついたマレーグマのリハビリを行い、自然に戻す活動をしています。
また、密猟や不慮の事故で親を失った子グマを保護し、保護区内で生存スキルを身につけさせてから自然に戻す取り組みも行っています。
さらに、劣悪な環境で違法に飼育され、野生に戻ることが難しい個体も存在しており、そうした子たちは長期的に保護しています。
今までから現在(2024年8月20日)までの活動で12頭のマレーグマが野生復帰をさせています。
BSBCCの主な活動③研究とモニタリング
マレーグマは最も研究の進んで無いクマとして知られています。
警戒心の強さや数の少なさ、生息地が人が行き来するには困難場所にあるため研究が遅れています。
また、マレーグマの生息地域の国々は発展途上国であり、野生動物の保護にそこまで力を入れることができないことも理由の一つになっています。
BSBCCが設立されたことにより、アメリカやイギリス、オーストラリアなど各国さまざまな大学や動物園と共同し生態の調査を励んでいます。
2022年には一頭のマレーグマにGPSをつけ、野生に帰すことができ、今後のマレーグマの生態把握にも期待が込められています。
BSBCCの主な活動③教育や普及啓発活動
現地では、オラウータンの保護団体や地域の学校や自治体と協力しながら、自然環境教育プログラムを通じて、マレーグマの重要性やその生息地の大切さを広く伝えています。
BSBCCに学生や児童を招き、実際にマレーグマを観察しながら自然環境の問題やマレーグマの置かれている問題の知識を教えています。
日本国内では各種SNSでの普及啓発活動やさまざまなラジオ番組への出演、各地でマレーグマについて知ってもらうイベント活動を行なっています。
現在、高知県のいち動物公園で
夏休み企画展
「ボルネオの森とマレーグマ展〜のいちとボルネオをつなぐ〜」
が行われています。
BSBCC JapanのSNSはこちら↓
BSBCCの主な活動⑤エコツーリズム
エコツーリズムの活動も行なっています。
エコツーリズムについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
BSBCCではエコツーリズムの活動も行っています。
ボルネオ島の豊かな自然を満喫しながら、マレーグマや現地の動植物を観察できるスポットとしても知られています。
一般の人々ができる支援
BSBCCの活動は、多くのボランティアや寄付、保護施設入場のチケット料金などによって支えられています。
日本に住む私たちがマレーグマの保護に貢献できる方法として、寄付への参加が挙げられます。
ボルネオ島に行く際には、ツアーの参加やBSBCCへ入場するだけでも保護活動に貢献することができますよ。
寄付についての詳細は、BSBCC Japanのウェブサイトでご確認ください。
一般社団法人ボルネオマレーグマ保護センター Japanは、絶滅の危機に瀕したマレーグマを守るために尽力しています。
その活動は、単に一つの種を救うだけでなく、地球全体の生態系を守る大きな意味を持っています。
私たち一人ひとりが、自然と調和した未来を築くためにできることはたくさんあります。
この記事をきっかけに、マレーグマだけでなく保護活動に関心を持ち、ぜひご支援や参加をご検討ください。
あなたの小さな一歩が、大きな変化を生み出す力になりますよ。
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