イルカと聞くと水族館でショーをしたり、多くの人は遊び好きで好奇心旺盛な動物をイメージしますね?
実際、映画や水族館では、イルカの人懐っこさが強調されています。
今回はそんなイルカの中でも『ミナミハンドウイルカ』についてお伝えします!
ミナミハンドウイルカの生態と特徴
ミナミハンドウイルカ(Tursiops aduncus)は、バンドウイルカの亜種として知られ、世界中の温暖な沿岸海域に生息しています。
日本近海では、鹿児島、天草、御蔵島、小笠原諸島周辺海域などでの分布が報告されています。
また、近年では石川県能登島にも定着していることが判明しています。
その知能の高さや人懐っこい性格から、海洋哺乳類の中でも特に人間に親しまれています。
この記事では、ミナミハンドウイルカの生態と特徴について詳しく見ていきます。
ミナミハンドウイルカ体の特徴
ミナミハンドウイルカは、体長約2.5〜3メートル、体重は150〜300キログラムほどになります。
他のイルカと比べると中型の部類に入り、体はスリムで流線型の形状をしています。
この形状が、彼らの高速な泳ぎを支える要因となっています。
ミナミハンドウイルカの体色は、背中側が灰色や青みがかった灰色で、腹部は白色です。
年齢や個体によって多少の差がありますが、沿岸の浅い海域に生息することから、体色は砂や岩の色に適応してカモフラージュ効果を発揮しています。
また、イルカの皮膚は非常に滑らかで、毎日少しずつ古い皮膚が剥がれ落ちて新しい皮膚に生まれ変わるという特徴があります。
この高速な代謝サイクルは、体を清潔に保ち、寄生虫や汚れから守る役割を果たしています。
沿岸環境に適応したミナミハンドウイルカの生息地と分布
ミナミハンドウイルカは、熱帯や亜熱帯の沿岸海域を中心に生息しており、特にオーストラリア、東南アジア、アフリカ東部、インド洋周辺で多く見られます。
浅瀬や沿岸の入り江、河口近くのエリアを好み、そこで魚を捕らえ、社会的な群れを作って生活しています。
ミナミハンドウイルカは沿岸部を主な生息地としていますが、これは浅い水深でも十分に泳ぎ回れる能力を持つためです。
食物が豊富な沿岸では、魚やイカ、甲殻類などを捕食しやすく、また群れで協力して狩りを行うこともできます。
ミナミハンドウイルカ寿命と繁殖
ミナミハンドウイルカの寿命は、野生では約30〜40年と言われていますが、保護下にある個体ではそれ以上長生きすることもあります。
彼らの寿命は、食料供給の安定や環境状況に大きく左右されます。
育児や繁殖については、通常5〜10歳で成熟し、1〜2年に1度のペースで繁殖します。
妊娠期間は約12か月で、1度に1頭の子イルカを出産します。
生まれたばかりの子イルカは、母親から母乳を飲んで成長し、約1〜2年間は母親と共に過ごします。
母親は子どもに狩りや泳ぎ方を教えながら、群れの中での生き残り方を学ばせます。
また、イルカは性欲が強いことでも知られており、交尾を楽しむのではないかと言われています。
ミナミハンドウイルカ食性と狩りの方法
ミナミハンドウイルカは肉食性で、主に魚類やイカ、エビなどの甲殻類を捕食します。
彼らの食性は住んでいる海域の環境や食物の豊富さによって変わることもありますが、基本的には沿岸で容易に捕らえられる小型の獲物をターゲットにしています。
ミナミハンドウイルカの知能は?
ミナミハンドウイルカは、海洋哺乳類の中でも特に高い知能を持つ生き物としても知られています。
彼らは複雑な行動や高度なコミュニケーション能力を発揮し、群れでの生活を支えています。
高い知能を持つミナミハンドウイルカ
ミナミハンドウイルカは、人間やチンパンジーと同様に、複雑な問題を解決する能力を持つことが数多くの研究で示されています。
その脳の構造は非常に発達しており、特に感情や思考、記憶を司る部位が大きく発達しています。
その一例をお伝えしますね。
- 自己認識の能力
ミナミハンドウイルカは、鏡に映った自分を認識できる数少ない動物の一つです。
この自己認識能力は、知能の高さを示す重要な指標とされており、動物界でも珍しいものです。 - 道具の使用と学習能力
野生のイルカたちは、狩りの際に海底のサンゴや貝殻を使って獲物を捕まえることがあります。
このように、環境に適応し、状況に応じた道具を使うことができるのは、彼らの知能の高さを物語っています。
また、イルカは一度学んだことを記憶し、仲間や子どもに教えることもできます。
そのため、同じ種類のイルカであってもコロニーが違えばできることにも違いがあることで知られています。
高度なコミュニケーション手段
ミナミハンドウイルカは、非常に複雑で多様なコミュニケーション手段を持っています。
彼らは視覚、聴覚、身体接触を通じて、仲間同士や他の生物とコミュニケーションを取りますが、特に以下のような音波を使ったコミュニケーションが優れています。
- 音波(クリック音、笛のような音)
ミナミハンドウイルカは、さまざまな音を使って意思疎通を行います。
クリック音や笛のような音を発し、仲間同士での挨拶や警告、場所の共有を行います。
特に笛音は個体ごとに異なり、イルカはこの個体識別音を使って、群れの中でお互いを認識し合い、コミュニケーションを取っていると言われています。 - エコロケーション
エコロケーションとは、音波を発してその反響を受け取り、周囲の物体の位置や形を把握する能力です。
ミナミハンドウイルカはこのエコロケーションを使って、獲物の位置を把握したり、暗い水中で障害物を避けたりすることができます。
また、エコロケーションは、音波の反射を通じて他のイルカの行動や状態を認識するためにも使われます。
3. 社会性と協力行動
ミナミハンドウイルカは非常に社交的で、群れの中で複雑な社会構造を持っています。
彼らは群れで協力し合い、狩りや遊び、時には子育ても共同で行います。
この協力行動も、彼らの高度な知能とコミュニケーション能力が関与しています。
- 協力して狩りをする
イルカたちは群れで協力して魚を追い込み、効率的に捕獲する「ラウンドアップ」という戦術を使います。この戦術は、互いに声をかけ合い、集団で行動することで可能になります。彼らは互いに役割を分担し、最も効率的な方法で餌を得るために調整しています。 - 遊びと学習
ミナミハンドウイルカは、遊びの中でもコミュニケーションを取り、群れの中での絆を深めています。遊びを通じて学習し、若いイルカたちは狩りや泳ぎ方を習得します。このような協調行動は、群れの生存率を高めるだけでなく、個々のイルカの知能や社会性を発達させるのに重要な役割を果たしています。
4. 人間とのコミュニケーションと訓練
ミナミハンドウイルカは、その高い知能と柔軟な性格から、人間との相互作用にも優れています。
水族館や研究施設で行われる訓練においても、イルカは人間の指示を理解し、複雑なトリックやタスクを遂行することが可能です。
- 訓練と学習能力
ミナミハンドウイルカは、人間が行う手信号や音の合図を理解し、それに応じた行動を取ることができます。
犬と同様にオペラント条件づけの『正の強化』でトリックや芸を覚えてくれるということが知られています。 - イルカセラピー
イルカの穏やかな性格と知能は、人間の感情やストレスにも良い影響を与えると言われています。特に、自閉症の子供や精神的な問題を抱える人々に対して、イルカと触れ合うことでリラックス効果や心理的な癒しが得られることが報告されています。
ミナミハンドウイルカの意外な真実5選
ここからはそんなイルカについてあまり知られていないであろう事実をお伝えします。
ミナミハンドウイルカは絶滅危惧種!?
ミナミハンドウイルカは水族館でもいる身近な生き物で、ダイビングでも頻繁に見ることができます。
実際、レッドリストでは測定不明とされていますが、国際捕鯨員会では絶滅の危機に瀕していると言われています。
ミナミハンドウイルカはハンドウイルカではない!?
ミナミハンドウイルカは、ハンドウイルカの亜種としられていますが、実際はハンドウイルカよりもマイルカに似ているとされ2000年に別種として認定されています。
ミナミハンドウイルカは子殺しをする!?
ミナミハンドウイルカは基本的に温厚で群れで行動し子育てするとして知られています。
が、オスの一部は子供殺しをする習性があるということを知られています。
メスが釣れている子供が自分の子供でない場合はオスは子供を殺すこともあります。
これは、メスに子供がいなければ交尾を受け入れやすくなり、自分の遺伝子を残しやすくなるためだと言われています。
これは、コロニー(群れ)を形成する動物たちにはみられる行動で、ライオンでは、新たに就任したボスの子供以外を殺した(前のボスの子供)という事例も見られています。
ミナミハンドウイルカは死体と交尾する!?
イルカでこういった行動が見られるのは珍しい行動ですが、2022年の研究で、ハンドウイルカの死体との交尾行動を4件報告されています。
水中にフェロモンが残っていた、メスは生きていると勘違いしていたなどさまざま考察があったが、どれも除外されたため原因は謎のままとなっています。
ミナミハンドウイルカは眠らない!?
眠らないというと語弊がありますが、イルカは常に活動することができる動物としても知られています。
その理由は、半球睡眠にあります。
この半球睡眠ができることで眠りながらでも活動することができます。
まとめ
ミナミハンドウイルカの生態をご紹介しました。
この記事を書くにあたって、いろいろ調べていると日本でイルカが大量に殺されていたり、群れによって習性が違っていたり、繁殖期以外にも交尾をするなど知らない情報が多くありました。
あと、意外と人間と触れ合うことがストレスになるということが意外でしたね。
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